[日記]桑の実を食べる
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今年も実家から桑の実が送られてきた。母いわく、「今年のは甘さが足りない」とのことだったが、食べてみるとそんなこともなく、実に旨かった。
桑の木は勝手に生えてきた。私の実家は山が近く、野鳥が多く飛び交っている。どこかで桑の実を食べた鳥が糞を落とし、そこから芽が出たのだろう。鳥の糞から生えてきた木は多くの場合、人が植えた園芸品種より丈夫だ。実家の桑の木もその例にもれず、放置しておくとぐんぐんと育ち、10年ほどで多くの実をつけるようになった。まったくの手間いらずで、桑というのはよほど日本の風土にあっているらしい。
桑は古来、日本では蚕の餌として重宝されてきた。私の母方の家系は先祖をたどっていくと丹後の養蚕農家で、桑の木には縁があるわけだ。
「桑の実」というと、なんだか芥川龍之介の短編にでも似合いそうな語感だが、英名ではマルベリーだ。ブルーベリーやストロベリーと同じベリーの仲間だ。マルベリーのジャムと言うのと、桑の実ジャムと言うのでは印象がまったく違う。もっとも、ベリーというのは殻のない小さなフルーツのことを指すらしく、ベリー類というのは植物学的な分類ではまったくの無関係なのだそうだ。
毎年、あまりにも大量に桑の実が採れるので、マルベリージャムを売る商売でも成り立たないかと妄想をしてみたことがある。桑の木が実を付けるまで育つのに10年ほど。土地は桑の木1本あたり5平方メートルくらい必要か。となれば、100平方メートルで20本。1本の木から瓶10個分ほどのジャムが出来るとして、合計200瓶。1瓶を1000円で売っても20万円である。とうてい商売にならない。
もっとも、私は農業の知識がないので、上に書いた雑駁な計算は多くの間違いを含んでいるだろう。実をジャムにするだけが桑の木の用途ではないので、他にもいろいろ組み合わせれば、もう少し経済性も高まるかもしれない。とはいえ現在の日本で、桑の木で商売を成り立たすのは無理だろう。家族でおやつがわりに食べるくらいがちょうど良い。
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