[サッカー] アジアチャンピオンズリーグからJリーグ勢全滅

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5月30日に行われたアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)決勝トーナメントで、Jリーグ勢は3チームすべてが敗退し、全滅となりました。

3チームともグループリーグが2位抜けでしたので、決勝トーナメント1回戦はアウェーでの一発勝負。FC東京は中国の広州恒大に0-1、柏レイソルは韓国の蔚山現代に2-3、名古屋グランパスはオーストラリアのアデレード・ユナイテッドに0-1でした。

2007年、2008年に浦和レッズ、ガンバ大阪とJリーグのチームが連覇したあたりまでは良かったのですが、どうもこの数年はJリーグの相対的な力が落ちているように思います。Jリーグの力が下がったのではなく、他の国が上昇していることにより、Jの苦戦が増えているという感じです。

考えてみればその通りで、中国やカタールあたりから聞こえてくるのは、驚くような金額で世界的名選手や名監督をチームに迎えたというニュースのオンパレードです。

FC東京と広州恒大の一戦が典型でしたが、広州の監督はマルチェロ・リッピでした。もうそこらの一流監督というレベルではなく、ワールドカップとチャンピオンズリーグの両方を制した史上初の監督で、セリエA全盛期にユヴェントスを率いてスクデットを何度も獲得したサッカー史に残るレベルの大監督です。当然選手獲得にかけているお金もすごくて、夏には2010-2011シーズンにドルトムントで香川真司選手との相性が抜群だったパラグアイ代表フォワードのルーカス・バリオス選手を獲得します。

中国超級リーグの他のチームもすごくて、上海申花なんかニコラ・アネルカですからね。次はアネルカとチェルシーで同僚だったディディエ・ドログバも獲得するのではなんて言われている。

対する日本はというと、期待の若手はあっという間にヨーロッパのチームに移籍する。国内は不景気で大きな予算を使えるクラブチームは存在しない。さらに国内リーグ戦とACLの日程がうまく調整されていないので、大会を勝ち抜くうえでとても不利な日程を強いられる。そもそも予算が少ないので、リーグ戦と国際試合の両方を勝ち進めるような編成ができるチームがありません。

こうした状況は昨年までもあったのですが、今年はその状況が一段と前に進んだような気配がある。これまでは、派手に金をかけるが乱暴で魅力のないサッカーをするアジア勢と、華麗なパスサッカーで美しくプレーするJリーグ勢という見方がありました。しかし、今年は普通に良いサッカーで日本が圧倒されていました。力負けといって良いでしょう。

勝負は時の運ですから、今年負けたからといって次も負けるとは限らない。問題は、豊富な資金で選手層を充実させ、名監督を呼び強いチームを作ろうとし、その方針が軌道に乗りつつあることです。手をこまねいていれば、この差は来年以降さらに開いていくでしょう。今年はそういう、クラブチームにおける日本と中国の逆転が起きた年として記憶される可能性があるように思います。

そうやって考えてみれば、Jリーグ勢で唯一グループリーグで敗退したのがガンバ大阪であるというのは象徴的です。ガンバは昨年、パナソニックで出世レースから外れ天下りで社長になったサラリーマンが、弱小チームだったガンバを多数のタイトルを獲得し毎年優勝争いに絡む強豪に変身させた西野朗監督と契約を更新せず、ブラジルから未知数のロペスを呼び監督にしようとしてライセンス問題でつまづき、セホーンを代わりに監督にしてチームが瓦解。昨年の優勝争いから一気に残留争いまで転落しました。

社内事情がすべてに優先する腐敗した経営で売上高をどんどん減らし、世界市場で中国企業に連戦連敗のパナソニックが、日本企業のダメなところの象徴ともいえる社内で出世できなかった人材を取りあえず子会社の社長にしてみてさらにまた赤字という構図を、サッカーでもやっているわけです。

対する中国やアラブはというと、成金サッカーですからね。成金が有り余る財産をつぎ込み強豪を作りあげる。今年のチャンピオンズリーグで優勝したのはチェルシーでした。ロシアの石油成金が選手から監督からあらゆる名選手を金にあかせて集めてきた成金チームの中の成金チームがチェルシーなわけです。時代はいま成金の支配するサッカーに動いているわけで、そういう時代の流れみたいなのをFC東京と広州恒大の試合には感じましたね。

日本でこれに対抗できるとすれば楽天創業者の三木谷浩史がオーナーのヴィッセル神戸でしょうか。ヴィッセルは沈みゆく家電メーカーであるパナソニックが手放した西野朗を監督に据えましたし、補強も日本代表クラスを多数獲得して熱心にやっています。ここはもう、三木谷オーナーにはもうひと頑張りしていただいて、今年だったらラウールを呼ぶくらいの気合を見せていただきたいものです。

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